優れた空間を創るには、インテリアデザイナーの存在が不可欠です。優れた空間とは、機能的で居心地が良く、見た目のデザイン性が十分に考慮された、完成度の高い空間です。インテリアデザイナー無くして優れた空間が創れないその理由は、インテリアデザイナーの職域の広さにあります。
ここでは、インテリアデザイナーとインテリアコーディネーター、インテリアデザイナーと建築家の職域の違いを明らかにし、インテリアデザイナーに依頼した場合のメリットについてお伝えします。
BIIDが定義するインテリアデザイナーは、空間づくりをトータルに計画・監修する人です。商業施設、居住空間等において、空間づくりの一連の流れの全てに関わり、優れた空間を創ります。その職域(業務範囲)は、
と広い範囲にわたります。
最初から最後までクライアントに寄り添い、創意工夫しながら、ご予算内でできるベストな空間を目指すのが、インテリアデザイナーです(クライアントの要望や状況により、上記の一部のみを担当することもあります)。
インテリアコーディネーターは、内装材や家具、カーテンなどのインテリア用品に関して、提言・助言を行う人です。インテリアデザイナーが最初から空間の計画を行うのに対し、インテリアコーディネーターは、でき上がった空間にインテリア用品を入れ、整える役割を担います。上記の職域で言えば、
が主な業務となりますが、⑨のみという人も少なくありません。
ハウスメーカーのインテリアコーディネーターは、⑤⑥⑦⑨と比較的広い業務範囲を担当しますが、その選択肢は限定的です。また、インテリアコーディネーターが、床、壁、天井の仕上げ材など、目に見える部分の材料の選択にとどまるのに対し、インテリアデザイナーは、床下、壁の中、天井の裏も計画します(これにより、床暖房・空調・音響・照明計画を行うことができ、天井高を上げることなどもできます)。
独立系のインテリアコーディネーターの中には、クライアントの要望に応えて業務範囲を広げている人もいますが、一般的にインテリアコーディネーターは 「インテリア用品の助言・提案を行う人」とするとわかりやすいでしょう。
建築士は、建物の設計をし、工事が設計通りに進むよう監理をする人です。設計とは、建物の機能性・安全性・耐久性などに配慮した図面を作ることであり、通風や日当たり、採光等にも配慮します。
建築士(一級建築士、二級建築士、木造建築士)は国家資格であり、行政手続き等、建築士でなくてはできない業務があります。
一方で、建築士は一般的に、家具やカーテンなど室内装飾は業務外のため、ハウスメーカーではインテリアコーディネーターが紹介されます。インテリアコーディネーターがいない設計事務所や工務店に依頼をすると、インテリアコーディネーターの役割はクライアント自身が担うことになります。建築士の施工例写真は建物だけで、家具やカーテンがほとんど入っていないのはこのためです。
家具やカーテン、装飾品を含んだ最終形をイメージすることなく建物が完成すると、後々不具合が生じることが少なくありません。家具や装飾品の配置を考えると、「窓はもう少し右が良かった」「壁の位置を動かしたい」「この位置にコンセントや照明が欲しかった」等、いろいろと出てくるのです。
また、インテリア用品をあとで考えると、「やっぱり○○は違う色の方がよかった…」と早くも後悔することがありますし、そもそも インテリア用品に回せる予算が足りなくなってしまった、ということにもなりかねません。トータルデザインの視点を持ったインテリアデザイナーと協業すれば、こういった不具合を回避し、完成度の高い空間を創ることが可能になります。
このようにインテリアデザイナーは、インテリアコーディネーターが関わらない初期の段階から、建築士が関わらない家具装飾の段階までトータルにカバーします。大切なご予算をどう使うのが効果的か、インテリア用品を含めた総予算のやりくりを任せられることは、インテリアデザイナーに依頼することでのみ得られる、大きなメリットでしょう。
また、空間の完成度を高めるには、一貫したコンセプトと完成イメージを持っている人(=インテリアデザイナー)がいることが非常に重要です。内装材や家具・カーテンはもちろんのこと、ドアノブ、スイッチ、金物一つに至るまで目が行き届きますし、工事中に不具合が起きた場合にも、トータルデザインの視点をもって適切な対処がなされるからです。
リノベーションなど、建築士が入らなくても、インテリアデザイナーだけで十分な場合も多くあります。必要であれば建築士を手配しますし、工事業者の手配もします。クライアントの皆さんは、規模の大小を問わず、インテリアデザイナーに依頼することで、楽に安心して優れた空間を手に入れることができるのです。